研究課題
基盤研究(B)
KEKBが運転を開始する平成10年度から3年をかけて研究を行い、高性能電子陽電子衝突型加速器(ファクトリー)および第3世代放射光リングで問題となる新しい結合パンチ不安定性(高速イオン不安定性および光電子不安定性)のメカニズムを、高エネルギー加速器研究機構のBファクトリー加速器(KEKB)を用いて実験的に解明し、定量的な予測を行うことを目的とする。これらの不安定性は、KEKBにおける最も深刻な不安定性である。KEKBは平成10年11月末に建設が終了し、12月から総合調整運転を開始した。平成11年2月末までに、電子リングに243mA、陽電子リングに200mAの電流を蓄積することに成功している。平成10年度においては、これらの不安定性を測定するための測定装置の制作と加速器リング内への据え付けを行った。測定器の一部は既に稼働しており、2月末現在において、電子リングにおける高速イオン不安定性と陽電子リングにおける光電子不安定性の兆候を捕まえることに成功している。今後は、トランジェント・メモリー・システムを働かせ、リング中に蓄積された各バンチの振動の様子を記録し、不安定性の特徴を明らかにする予定である。