研究課題/領域番号 |
10440081
|
研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
黒川 眞一 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (90044776)
|
研究分担者 |
伊澤 正陽 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (10168164)
加藤 直彦 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (10044752)
春日 俊夫 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (70044758)
加藤 茂樹 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教授 (60259984)
福間 均 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教授 (40150007)
|
キーワード | 電子陽電子衝突型ファクトリー / 結合バンチ不安定性 / トランジェント・メモリー・システム / 高速イオン不安定性 / 光電子不安定性 / Bファクトリー加速器 / 電子雲 / バンチ内振動 |
研究概要 |
高エネルギー加速器研究機構のBファクトリー、KEKB、の電子リングと陽電子リングにおいて、結合バンチ不安定性の研究を行った。 電子リングにおいて、トランジェント・メモリー・システムを用い、リング中に蓄積された各バンチの横方向(垂直と水平方向)振動の様子を記録して解析した。この結果、各バンチは垂直方向に振動し、バンチ列の先頭付近のバンチは振動せず、列後方になるにしたがい振動の振幅が次第に大きくなるという、高速ビームイオン不安定性に特徴的な現象をとらえることに成功した。振動のモードも、ほぼイオン振動数付近に集中しており、この結合バンチ振動がイオンによるものであることを示している。 これに対し、陽電子リングにおいては、バンチはダイポール振動を行うだけでなく、蓄積電流が大きくなるにつれて、バンチの垂直方向のサイズが増大する現象が観測された。バンチ間隔とバンチあたりの電荷量を変えながら、バンチ列中のバンチ毎の垂直方向のチューンを測定したところ、チューンはバンチ列の後方におくほど大きくなり、大きくなり方は、バンチ列の単位長さあたりの電荷量に比例することが分かった。また、チューンの増加量は有る値で頭打ちになることが判明した。ビームサイズの増大が放射光によってつくりだされた光電子により引き起こされ、生成した電子の電荷がビームの電荷をうち消すところでチューンの増大が止まると考えると、ほぼ定量的にこの現象を説明することができることから、ビームサイズの増大は、光電子雲中をバンチが通過するときに、電子雲と陽電子バンチの相互作用によってひきおこされるバンチ内振動であるという仮設が最も有力である。来年度は、この仮設を検証する実験を行う予定である。
|