2年度にわたる本研究の目的は、13K・100GPaの極限条件下における、よう化スズ(SnI_4)を中心とする四面体分子結晶の構造物性を明らかにすることにある。初年度の平成10年度は、お茶の水女子大学の研究室で低温高圧X線回析システムの構築を行なうと同時に、大型放射光施設Spring-8のBL10ステーションにおいても同様の装置を立ち上げた。また低温高圧実験に先だって遂行すべき回析実験を行った。 (1) 粉末X線回析用ガス圧駆動DACを購入後、現有のヘリウム循環型クライオスタットに搭載して圧力発生予備実験を行った。 (2) 上記クライオスタットをX線回析計に搭載したまま、DAC内のルビーに焦点を合わせ蛍光励起し測光するための顕微分光システムを設計・製作した。 (3) アモルファス相から再結晶化して出現するSnI_1の未知構造を決定するため、SPring-8において異常分散を利用したX線粉末回析実験を65GPaの超高圧力下で行い、スズ原子とヨウ素原子がfcc格子点にランダムに配置した構造であることを見出した。 (4) アモルファス相から再結晶化はSnI_1では61GPaでおきるが、GeI_4では100GPaにおいてもアモルファス状態であった。 以上の本年度の研究成果をふまえて平成11年度は低温高圧回析実験を実行する予定である。
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