研究概要 |
1)昨年度に引き続き、強磁性状態にあるマンガン酸化物におけるフォトドーピングによる局在スピン秩序の変化とヤーン・テラーポーラロン形成過程について調べた。(Nd_<0.5>Sm_<0.5>)_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3では、強磁性秩序状態にある局在スピンが遍歴電子の注入によってスピン反転し磁化が変化すること、および過渡的なヤーン・テラーポーラロンのクラスター相が強磁性相に形成されることを見いだした。 2)光制御の舞台となるマンガン酸化物の電子・磁気物性に関する研究を中心に実施した。 ・(Nd_<1-Z>La_Z)Sr_2Mn_2O_7では、La濃度に対する磁気相図を求め、低温相は層状の反強磁性であることがわかった。また、バイレーヤー型のマンガン酸化物における軌道の向きと磁気構造との関係を調べ、磁気構造の安定性を明らかにした。(R=La,Nd,Sm,Eu) ・113型構造マンガン酸化物であるR_<0.5>Ca_<0.5>(Mn,Cr)O_3(R=La,Nd,Sm,Eu)におけるCrドーピングの効果を調べた。希土類金属イオンの半径が大きい場合には、Cr添加によって電荷整列状態が不安定になり、強磁性相が誘起されることがわかった。電荷整列相と強磁性相は共存する。 ・La_<1-X>Sr_XMnO_3単結晶の反射スペクトルを測定し、反導eg電子のスピン偏極に対してインコヒーレントーコヒーレントクロスオーバーを示すことがわかった。ドルーデ成分が小さいという従来の報告が否定された。
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