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1998 年度 実績報告書

走査トンネル顕微鏡によるCu-O面の直接観察と局所対破壊効果からみた高温超伝導

研究課題

研究課題/領域番号 10440095
研究種目

基盤研究(B)

研究機関北海道大学

研究代表者

伊土 政幸  北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90111145)

研究分担者 桃野 直樹  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00261280)
キーワード銅酸化物高温超伝導体 / 走査型トンネル顕微鏡 / 超伝導不純物効果
研究概要

ここ2〜3年、La214やBi2212等の銅酸化物高温超伝導体の常伝導相(T>Tc)では、異なる2つの温度T_m、T_*でクロスオーバーが存在し、これらが超伝導と深く関わっていることが明らかとなってきた。我々は、La214系のキャリアー(ホール)濃度が最適値付近からオーバードープ領域に入ると、Cuのdホールが徐々に遍歴性を強めることを明らかにした。そして、これに連動するようにクロスオーバー温度T_m、T^*が共に低下し、超伝導ギャップ2Δ_0も減少することがら、Cuのdホールの局在性が超伝導を支配する重要因子であることを指摘してきた。
(1) そこで、本研究の目的の1つとして、走査トンネル顕微鏡(STM)によるCuO_2面のSTM像から、dホールの局在性(d_<x2-y2>とp_0との混成度)のホール濃度依存性を調べることとした。この研究では何処にクリーンな僻開面の試料を用意するかがその成否を決めるため、本年度は超高真空中における試料僻開が可能な極低温STM装置の組み上げを行い、現在、その極低温領域での調整を行っている。
(2) また、Cuの局在dスピンが作る磁気的ネットワークに着目し、(dスピンを持たない)Zn添加によってこのネットワークを乱した場合に生じる超伝導への影響も調べている。現在までに、Zn添加によってこのネットワークを乱した場合、その領域で超伝導が完全に抑制されることが明らがとなった。そして、この超伝導の抑制は単なる超伝導電子対の対破壊によるものでなく、局在dスピンの磁気的ネットワークに少しでも乱れが生じるとそこでは本質的に超伝導が起きなくなるためであることが結論できた。この結論は「超伝導の発現に局在dスピンが作る磁気的ネットワークが重要な役割を担っている」ことを示す大変興味深いものであり、結果の公表も行った。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] N.Momono: "Dependence of superconducting gap on hole doping level in La_<2-x>Sr_xCuO_4," J.Phys.Chem Solids. 59. 2068-2070 (1998)

  • [文献書誌] M.Oda: "Strong pairing interaction and pseudogap behavior in underdoped Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ>," J.Phys.Chem Solids. 59. 2071-2073 (1998)

  • [文献書誌] T.Nakano: "Correlation between the doping dependences of superconducting gap magnitude 2Δ_0 and pseudogap onset temperature T^* in high-T_c cuprates," J.Phys.Soc.Jpn.67. 2622-2625 (1998)

  • [文献書誌] T.Nakano: "Contrasting Ni- and Zn-substitution effects on magnetic properties and superconductivity in La2-xSrxCuO4," Phys.Rev.B. B58. 5831-5838 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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