研究概要 |
1. La系高温超伝導体La_<2-x>Ba_xCUO_4において電気伝導の非線形効果を調べた結果、x=1/8(Cuあたりのホール濃度p=l/8)の試料では非線形効果は観測されず、x=0.03のアンダードープの試料で弱い局在を示唆する非線形効果が観測された。この結果から、x=1/8の試料では、電荷とスピンのストライプ秩序のためにホールがかなり強く局在していることが推察された。 2. Bi系高温超伝導体において、ホール効果とμSRの実験を行ったところ、1/8異常が現れている試料、すなわち、CuサイトをZnで部分置換したBi_2Sr_2Ca_<1-x>Y_x(Cu_<1-y>,Zn_y)_2O_8のx=0.3125,y=0.025の試料では、ホール角の増大が観測され、また、低温でCuスピンのゆらぎのスローイングダウンが観測された。この結果から、Bi系においても、p〜1/8では電荷とスピンのストライプ秩序がZnによってピン止めされかかっている可能性が高いことが分かった。 3. Y系高温超伝導体Y_<1-x>Ca_xBa_2Cu_3O_<7-δ>のx=0と0.2で、Tcの酸素量依存性とp依存性を調べたところ、Tcは酸素量ではなくpで整理できることが分かった。ゆえに、Tcの60Kプラトーは酸素原子の秩序配列よりはむしろp〜1/8での超伝導の抑制の結果と見ることができ、Y系においても、p〜1/8でストライプ秩序がピン止めされかかっている可能性が高いことが分かった。 4. La_<2-x>Sr_xCu_<1-y>Zn_yO_4のオーバードープ領域で、TcのX依存性を詳細に調べたところ、x=0.19-0.22あたりで局所的にTcが極小を示し、電気抵抗率や熱電能の振舞いが周りの組成の試料に比べて非金属的であることが分かった。したがって、この組成のあたりで新しい秩序が形成されている可能性が高いことが推察された。
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