研究概要 |
1 新コンデンサーバンク用電源を作り,3kV,100kJコンデンサーバンクシステムを整備した。 2 Cu-Ag線パルスマグネットを製作し,新コンデンサーバンクを使って36Tのパルス磁場の発生に成功した。 3 (1)この開発したCu-Ag線パルスマグネットを装着したクライオスタット製作し,いくつかの強磁場ESR測定によるテストをおこなった。 (2)その後新しいマグネットを装着したクライオスタットで,1.8Kにおいて2次元有機導体α-(BEDT-TTF)_2KHg(SCN)_4のサイクロトロン共鳴を多くの周波数でおこないキンク磁場以下のSDW相における有効質量を0.46m_e(CR1),0.96m_e(CR2),1.30m_e(CR3),1.71m_e(CR4)と以前より正確に決定した。 (3)1.8K,466-503GHzの周波数においてCR3に相当するサイクロトロン共鳴の観測にキンク磁場23T以上の高磁場相で成功した。これはα軌道のCRと考えられるCR2以外の共鳴の観測であり,高磁場相と高温相との間に境界があることを示唆している。 4 α-(BEDT-TTF)_2KHg(SCN)_4より単純な2次元フェルミ面を持つθ-(BEDT-TTF)_2I_3のサイクロトロン共鳴の観測をベクターネットワークアナライザーでおこない,0.5Kまで温度依存性測定をおこないモードカップリング依存性も確認し,有効質量を1.03m_eと2.14m_eと決定した。 5 2次元有機導体(BEDT-TTF)_2Br(DIA)のサイクロトロン共鳴の観測をベクターネットワークアナライザーを使って0.5Kまでおこない,5次までのハーモニクスをともなう共鳴を観測した。これはHillらが主張しているperiodic orbit resonanceである可能性があり,現在詳細な検討をすすめている。
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