ダイヤモンドアンビルセルを用いた高圧下における遷移金属酸化物・化合物の研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10440114
• 研究機関: 日本大学
• 研究代表者: 高橋 博樹 日本大学, 文理学部, 助教授 (80188044)
• 研究分担者: 中西 剛司 日本大学, 文理学部, 助手 (70297761)
• キーワード: 高圧 / ダイヤモンドアンビルセル / 遷移金属酸化物 / 遷移金属化合物 / 超伝導 / 金属絶縁体転移

研究概要

本研究の目的はダイヤモンドアンビルセル(DAC)高圧発生装置を用いて遷移金属酸化物・化合物の低温高圧下における物性を調べることにある。DACは試料サイズは小さいものの100GPaという非常に高い圧力が発生できることが魅力であり、電気抵抗・帯磁率等の測定に応用することにより、遷移金属酸化物・化合物の研究においでこれまで(約10GPa)よりさらに広い圧力範囲で物性測定ができる。最近の高圧を用いた研究ではスピンラダー物質と呼ばれる遷移金属酸化物が圧力下で絶縁体から金属に転移し、超伝導を示すことを報告した。圧力範囲を広げることによって未知の物質・物性を発掘できる可能性はまだまだ高い。
今年度交付された科研費では主に
1. 低温で圧力可変、温度変化に対して圧力一定に制御できるヘリウムガス駆動型のダイヤモンドアンビルセル。
2. 光学窓付きダイヤモンドアンビルセル冷却用クライオスタット。
3. 圧力測定用ルビー蛍光測定用顕微分光用導入光学システム。
4. 物性測定用測定器システムの整備。
を購入した。
現在これらの装置の立ち上げを行っており種々の試験的測定を行っている。
また他の高圧装置も併用してスピンラダー物質(S_<rl-x>Ca_x)_<14>Cu_<24>O_<41>の圧力効果の研究を現在さらに進めている。Hcの圧力効果を各軸について測定しておりデータを蓄積している段階である。スピンラダー物質(S_<rl-x>Ca_x)_<14>Cu_<24>O_<41>は高圧下でのみ超伝導を示す遷移金属酸化物であることから、高圧下での物性測定技術に期待が集まっており、DACによる測定にも期待が大きい。

研究成果

• [文献書誌] 高橋博樹: "High-pressure studies on the superconducting spin-ladder compound Sr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41+d>" The review of High Pressure Science and Technology. 7. 388-393 (1998)
• [文献書誌] 永田貴志: "Pressure-Induced Dimensional Crossover and Superconductinity in the Hold-Doped Two-Leg Ladder Compound Sr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41+d>" Physical Review Letters. 81. 1090-1093 (1998)
• [文献書誌] 中西剛司: "High-Pressure Transport properties of the superconducting spin-ladder system Sr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41+d>" Journaol of Physical of Japan. 67. 2408-2411 (1998)
• [文献書誌] 関根佳明: "Effect of Pressure on therwoelectric power of Ni (S_<1-x>Se_x) _2" The Review of High Pressure Science and Technology. 7. 629-631 (1998)
• [文献書誌] 久保田正人: "Impact of La substitution on the magnetic structure of a low-carrier-depsity Kondo Syotem : Ce_<0.9>La_<0.1>P" Physical Review B. 58. R2929-R2932 (1998)
• [文献書誌] 小島健一: "Pressure dependence of the valence plase trensition in YbInCu_4" The Review of High Pressure Science and Technology. 7. 635-637 (1998)