研究課題/領域番号 |
10440118
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山田 道夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (90166736)
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研究分担者 |
林 祥介 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20180979)
石岡 圭一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (90292804)
薩摩 順吉 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70093242)
酒井 敏 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (30144299)
木田 重雄 , 文部省・核融合科学研究所, 教授 (70093234)
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キーワード | 大気力学 / 地球流体力学 / 熱対流 / 水蒸気 / 湿潤対流 / 相転移 / ブシネスク近似 / 線形安定性 |
研究概要 |
本年度は熱対流の数値実験を行ない、水の相転移の対流形態に及ぼす影響を調べた。ベナール対流に相転移物質が含まれている場合を記述するための典型的なものとして、ブシネスク近似方程式に、蒸気量と飽和量との差にほぼ線形的に依存する凝結/蒸発、およびそれに伴う発熱/吸熱、を加えて定式化した。本研究では、この方程式における凝結/蒸発の相転移速度および発熱量/吸熱量をパラメータとした。ベナール対流の流れパターンとの相違を調べるため、特に流れが2次元的であるRayleigh数の領域を選び、数値実験によってパラメータサーベイを行なった。その結果、相転移速度が中程度の値をとる時に発生するロール状対流のセルサイズが乾燥対流と比較して大きくなること、しかし相転移速度がさらに大きくなると再びセルサイズが減少し乾燥対流のものに近付くことが見い出された。このとき大きくなった対流セルにおいては上昇域が下降域より広くなることが見い出されたが、これは地球大気中の対流と対照的である。またこのような形態変化は、上下方向の流れにおける断熱膨張/断熱圧縮を考慮した場合も同じ傾向を示した。そこで、該当するパラメータ領域における静止状態の線形安定性を調べた結果、相転移速度を増大させるにつれて、最も不安定なモードを与える波数が一度減少し再び増大することが見い出された。これは、数値実験によって得られた対流セルの非線形挙動が、線形安定性によって制御されていることを示唆している。
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