研究概要 |
本研究は、液体中に分散している多数の透明な球形粒子の3次元配置を、可視化する方法の確立を目的とする。その基本原理は、液体と粒子の屈折率を合わせ、さらに液体中に微量の蛍光物質を溶解しておき、レーザーシートを照射することによって、液体部分だけを発光させるというものである。すると、レーザーシート面上の液体部分だけが明るく光り、手前に他の粒子があるにも関わらずシートに垂直な方向から、粒子の配置がはっきり見える。 前年度までの研究から,次の条件の組み合わせが最適であることがわかっている。粒子としては、直径15mmの透明なアクリル球(屈折率=1.49)を選ぶ,液体としては2種のシリコンオイル、KF56(屈折率1.496)とKF96-50CS(屈折率1.402)を体積比12:1で混合し、それに蛍光物質(pyrromethene 580)を5.72×10^<-4>g/lほど融解した。液体の温度を摂氏32度あたりにすると,屈折率が等しくなり粒子が明瞭に可視化できる。 今年度は、レーザーシートをそれに垂直に移動させて,複数の断面像を記録し,それらから粒子の3次元的な配置を求めることを試みた.その結果,粒子が静止している場合は,個々の粒子の3次元的な位置をほぼ正確に求めることが出来た.一方,流動状態で粒子が動いている場合は,レーザーシートの移動速度,ビデオカメラのシャッター時間との比較によって,早く動いている粒子の画像はボケがともなって,測定に誤差が生じた. しかしながら,本方法によって今まで不可能であった粒子の3次元配置層野計測が可能になることを示すことが出来た.この成果は,今後多方面に応用される可能性がある.
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