我々は、中性子固有スピンおよび固有エネルギー状態の重ね合わせ状態の原理による中性子スピン干渉計として、中性子スピンエコー干渉計および磁気共鳴を利用した時間エコー干渉計を実現た。スピンエコー干渉計を用いてし、磁気膜トンネル位相、磁気ファブリペロー膜共鳴トンネル束縛位相、磁気多層膜回折位相、ヘリカル磁気回折位相、磁気結晶回折位相の測定に世界で最初に成功した。この結果は、Phys.Rev等に報告した。しかしながら、"トンネル時間"や"回折時間"の概念は量子力学でもまだ定義すら確立していない。しかしながら、実験の立場では、実時間でこれらの時間を測定することは可能である。従来の中性子飛行時間法では、中性子波の時間分割に限界があり、当科研費は、主として時間エコー干渉計の制作に使用された。 この時間干渉計では、共鳴スピンフリッパー間に磁気ポテンシャルを挿入すると、中性子固有スピン間で磁気ポテンシャルの相違による位相差を感じるが、アナライザーの下流側に磁気ポテンシャルを挿入すると、この領域では、up中性子の2エネルギー状態による時間ビートが存在し、両固有状態とも同じ磁気ポテンシャルを感じるので、時間ビートは、変化しない。しかし、中性子の飛行時間遅れが存在するときは、時間ビートの位相は、変化する。したがって、我々が従来観測してきた中性子ラーモア回転による磁気膜や磁気結晶透過動力学回折位相を時間ビートによる時間遅れと比較して、議論出来る実験手法を確立する事が出来た。この結果は、ASR2000国際会議およびその他に報告した。
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