研究概要 |
本年度は,短周期アンジュレータ用円偏光磁気回路(昨年度の科学研究費補助により完成)の磁場測定・調整法の開発を行った。本研究で目指す1〜2cmの短周期磁場を実現するには,磁石列間のギャップを非常に小さく設定して真空槽の壁等を介さず電子に直接磁場を印加しなければならない。この様な要求に対応するために,加速器の超高真空中に導入できるように設計・製作した磁気回路を,汚染せずに実行できる磁場測定・調整法を開発した。 円偏光用アンジュレータ磁場は,電子が通過するアンジュレータ軸上で螺旋型に変動する磁場である。昨年度製作した磁気回路の周期長は2cmであり,アンジュレータ磁石列の間隔4mmにて約3500Gaussの磁場を発生できる。この磁気回路の磁場測定のために,微少な磁場感受域(0.1×0.1mm^2程度)を持つホールセンサーを用いた磁場測定装置および測定用制御プログラムの作成を行うとともに,既存の磁場測定用架台に必要な改造を施し昨年度製作の円偏光磁気回路を取付可能にした後,磁場測定・調整を行った。この時の方針は,螺旋型周期磁場の周期毎のばらつきをできる限り少なくし(0.2%程度以下),この磁場中で螺旋運動を行う電子の螺旋軸を真直にすることである。さらに,水平・鉛直磁場の重ね合わせとして螺旋型磁場を生成できる小型磁気回路(周期長=2cm,周期数5)を作成し,上記測定法の精度を確認した。
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