研究概要 |
1. 地震学的にもとめられている有限な広がりをもつ断層上のディスロケーションによって生じるとジオイド高の変化を求める手続きを,Sun and Okubo(1993)の点震源の理論を拡張して構築した.1964年アラスカ地震について地震学的に求められた断層パラメータを上記の手法に与えて数値計算した結果,ジオイド高は約1cm変動することがわかった. 2. 海面高度にあたえる海洋学的な擾乱を見積もるために,海洋の中・深層における乱流拡散について研究を進めた.乱流拡散は、海洋熱塩大循環のパターンや強さをもコントロールしている重要な物理過程にもかかわらず、そのオーダーさえも正確にわかっていない。本研究では、大気擾乱や潮流により与えられた鉛直低波数・周波数ω〜2fの内部波エネルギーが、内部重力波の弱非線形相互干渉機構Parametric Subharmonic Instabilityを通じて、中・深層での平衡内部波スペクトル内を鉛直高波数の近慣性領域へ運ばれること、そして、それにより形成された近慣性流シアーを伴う臨界層で内部波が砕波することによってエネルギーが散逸していることを、数値実験を通して明らかにした。さらに、このエネルギーの流れをもとにすることで、大規模スケールで供給される周波数ω〜2fの内部波エネルギーの時空間分布という、より把握しやすい情報から、海洋の中・深層における乱流拡散率のグローバルなマッピングが可能となることを初めて提唱した。
|