研究課題/領域番号 |
10440127
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
寅丸 敦志 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (50202205)
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研究分担者 |
佐藤 博明 神戸大学, 理学部, 教授 (60019495)
守屋 以智雄 金沢大学, 文学部, 教授 (50052494)
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キーワード | 伸長した気泡 / 洞爺火山 / 軽石 / アスペクト比 / 火道径変化 / 気泡の合体 |
研究概要 |
洞爺軽石流堆積物について、伸長した気泡の形態解析を行った。気泡のアスペクト比と軽石のサイズや見かけ密度、堆積物の粒度分布や火口からの距離との関係について調べた。その結果次のことがわかった。 (1) アスペクト比分布では気泡の伸長方向に垂直な断面と平行な断面とでは異なる分布を示し、前者ではアスペクト比が0.4から0.7が多数を占めているのに対し、後者では0.1から0.4までが多数を占めている。 (2) 変形の効果を調べるためには、合体の影響を可能な限り除去する必要がある。そのために、気泡の長軸方向に平行な断面上で面積が最小の気泡を抽出し、その中からアスペクト比が最小のもの(代表的な気泡)を選択した。このアスペクト比は火口からの距離や粒度分布、軽石のサイズや見かけ密度といった量とは無関係である。これは気泡の変形が火砕流の流動中ではほとんど不可能であったことを示唆している。 (3) 地下深部での気泡の変形を定常流モデルを用いて考察した。その結果、球状の気泡が現在の形状になるまでに必要な歪みの絶対値が、約2.8から10の範囲であると、求められた。さらに地下深部での気泡の変形の原因を、火道の半径の鉛直方向での変化に帰することによって、火道の上部と下部との半径の比が、約0.3から0.5の範囲であると推定された。 (4) 気泡同士の合体の効果を気泡の断面積とアスペクト比との関係を用いて考察した。気泡の合体には相互の気泡の短軸付近で合体する場合と長軸付近で合体する場合の二つの極端な場合が考えられる。現実はこの間に確率的に存在し、代表的な気泡のアスペクト比を境にして、この合体過程の詳細が変化することがわかった。
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