研究課題/領域番号 |
10440127
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
寅丸 敦志 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (50202205)
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研究分担者 |
佐藤 博明 神戸大学, 理学部, 教授 (60019495)
守屋 以智雄 金沢大学, 文学部, 教授 (50052494)
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キーワード | 発泡 / パン / イースト菌 / 発酵 / 気泡の膨張 / 気泡の合体 / 伸長した気泡 |
研究概要 |
天然の軽石における気泡の形態から、マグマの流動過程についての情報を定量的に推定する方法を確立するために、パンにおけるイースト菌の発酵によって生じる気泡の生成過程を利用したアナログ実験を行った。基礎実験の結果、生成される気泡の数密度(単位面積当たり)は、菌の量の-0.1乗に比例しており、膨張率は、菌の量と,ともに増加するが、菌の濃度がおよそ1wt%で最大値に達してその後減少する事が分かった。次に発酵に伴う膨張と流動過程が気泡の形状に及ぼす影響を調べるために、自由に発酵させた場合(膨張が等方的)と管の中で発酵させた場合(膨張過程によって生ずる流れが1次元的)の二つの場合について検討した。その結果、単位面積当たりの気泡の数密度は、等方的な場合では、時間の-0.5乗に比例して減少し、1次元的な場合では、それより少し急激減少する事が分かった。また、気泡の平均断面積は、等方的な場合では、時間の0.5乗に比例して増加するが、1次元的な場合では、それよりも急激に増加する事がわかった。これらの事は、管の中で膨張するような一次元的な流動過程が、気泡の合体過程を促進している事を示している。また、1次元的な膨張において、時間とともに気泡のアスペクト比は減少するが、これは、パン全体の変形では説明できないもので、気泡が合体することによって、伸長した気泡が形成されることを意味している。これらの結果から、次の二つの結論が導かれる。(1)天然の軽石でよく見られる伸びた気泡の主たる形成過程は、マグマの1次元的流動による気泡の合体ある。(2)天然の軽石に含まれる伸びた気泡のアスペクト比から、そのマグマの歪みを推定するためには、合体の影響が無視できるようなあるサイズ以下の気泡を取り扱う必要がある。
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