研究分担者 |
宮崎 真一 国土地理院, 地理地殻活動研究センター, 研究員
木股 文昭 名古屋大学, 理学部, 助手 (10089849)
橋本 学 京都大学, 防災研究所, 助教授 (20293962)
平原 和朗 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40165197)
田中 寅夫 京都大学, 防災研究所, 教授 (40027222)
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研究概要 |
日本最大の活断層群である中央構造線に沿う現在の地震活動は低調であるが,過去の活動履歴から判断し将来の再活発化が予想される.また,国土地理院全国GPS(汎地球測位システム)連続観測成果から,四国/中国地方間に地殻変動速度のgapあるいは大きなgradientが存在し,中央構造線は広域の地殻変動のブロック境界として作用していると推察される.内陸活断層の運動様式を支配する断層深部形状と固着・すべり分布を推定する場合,上部は固着し定常的なすべりは深部で起きているため,断層近傍の観測点からは有意な変動は期待できない.深部の運動を捉えるには断層から離れる方向への観測網の展開が必要で,広域の変動場と内陸活断層の運動様式の関連を探る上でも重要である.以上を踏まえ,本研究では,四国から瀬戸内海を越え中国地方にいたる高密度traverse観測網を作り,反復測量によって中央構造線周囲の変位場を精密に計測する作業に着手した. [平成10年7-9月]:観測点分布,衛星の視通状況,地形,地盤等を考慮し,室戸岬から岡山県中部に至る約200kmの測線上に計22点の観測点を新設した.[平成10年10月]:第1回GPS観測を実施した.5大学1研究機関から20名が参加し,約1週間に渡り連続観測を行った.何点かにおいてはより長期間の観測を行った.[平成10年11月以降]:東京大学地震研究所内のワークステーション内に共通のアカウントを設け観測データの集中と一元管理を行うとともに,各自による分散処理を行っている. 研究の初年度で第1回観測が終了したばかりの現時点では地殻変動ベクトルの算出には至っていない.観測の実施だけでなく,地殻構造や固着・すベり分布の違いが地表の変動パターンに及ぼす影響のモデリング,大気水蒸気によるGPS電波の伝播遅延の影響等についての詳細な考察を行った.
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