| 研究分担者 |
木股 文昭 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10089849)
橋本 学 京都大学, 防災研究所, 助教授 (20293962)
平原 和朗 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40165197)
加藤 照之 東京大学, 地震研究所, 教授 (80134633)
松島 健 九州大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40222301)
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| 研究概要 |
四国の室戸岬から中央構造線を横断し瀬戸内海を経て中国山地へ伸びる約220kmの測線上に,計22のGPS(全地球測位システム)観測点を設置した.平成10年10月,11年10月,12年9-10月の3回の集中観測を行い,国土地理院GPS連続観測点42点を合わせた,計64観測点の変動速度を算出した.臨時観測ながら,速度誤差1-2mm/年という,現時点における最高精度を達成した.
西南日本の地殻変動場において,フィリピン海プレートの沈み込みに伴う弾性変形が支配的である.中央構造線に起因する変動を抽出するため,プレート沈み込みの影響を分離除去した.解析は,モデルによって沈み込みの影響を推定し観測値から除去する順解析,沈み込みと中央構造線沿いのすべりを観測値から直接同時推定する逆解析,の両方を実施した.こうして得た中央構造線周辺の局所的な地殻変動場から次の新しい知見を得た.
1.中央構造線の南側ブロックは,北側に相対的に年間約5mmの速度で西へ変位している.これは地質学的な右横ずれ速度5-10mm/年とほぼ一致する.
2.南北ブロック間の相対運動は,中央構造線の20-30km北方を境界とする.ただし,境界はシャープではない.
3.以上の結果は,中央構造線が北側へ傾斜し,深さ15-20kmまで固着,その下方で年間約5mmの定常すべりが起きている,というモデルで説明される.これは,最近の反射法地震探査から得た断層深部構造と調和する.
本成果を地球惑星科学関連学会合同大会,日本測地学会,日本地震学会,アメリカ地球物理学連合大会等で公表した.現在,国際誌に投稿する原稿を執筆中である.本観測線の北西延長上で平成12年10月鳥取県西部地震が発生した.今後はプレート収束境界域におけるひずみ蓄積過程を総合的に解析していく必要性を痛感する.
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