研究概要 |
本研究の目的は,積雲対流による慣性重力波の生成,ならびに慣性重力波による積雲対流の組織化について,亜熱帯域(日本国内)あるいは熱帯域(インドネシアおよびタイ)における観測や既存観測データ収集を行って,研究することである.計画調書の時点では,代表者の前任地(京都大学超高層電波研究センター)と同一機関に属する研究者6名,他機関の者4名を分担者としたが,代表者の異動に伴い京都大学の2名(荻野・橋口)のみを分担者として残し(他は協力者とした),新たに神戸大学の1名(岩山)を分担者に加えた.しかし研究計画自体はほぼ申請書のものを踏襲し,初年次である本年度の研究も,ほぼ交付申請書記載の通り進行した. すなわち,これまでの一点観測では経時変化と空間変化が分離しにくかったことを考慮し,可搬型GPSレーウィンゾンデ装置を導入し,並行して開発が完了する可搬型境界層レーダー(BLR)装置とともに,固定大気レーダーの存在する滋賀県信楽町などの周辺に投入することを試みた.この機器は、最近開発されたばかりのものであるため,予め種々の調査を行って観測精度の確認に万全を期し,本年度内は台風などに合わせて予備的観測を行った.また本研究グループがこれまで亜熱帯〜熱帯域において実施あるいはデータ収集してきた,境界層レーダー観測,レーウィンゾンデ観測,地上気象観測のデータと,気象庁の官署観測や客観解析のデータとを総合的に解析し,慣性重力波・積雲対流の両方,および背景風の気候学的振舞に関する知見を得た.
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