研究概要 |
本研究の目的は,積雲対流による慣性重力波の生成,ならびに慣性重力波による積雲対流の組織化について,亜熱帯域(日本国内)あるいは熱帯域(インドネシアおよびタイ)における観測や既存観測データ収集を行って,研究することである. 本年度は,前年度(初年度)購入したGPSレーウィンゾンデ装置等を用いた観測を引続き実施するとともに,データ解析に用いる計算機設備を充実させ,具体的な研究成果を得た.計画事項は以下の通りである. ・時間・鉛直に関する単色波解析,スペクトル解析などを用い,慣性重力波の波動要素を次々と求め,次いでそれらを季節・高度(・緯度・経度)の関数として整理した. ・気象庁等の観測資料を入手し,積雲対流や各種低気圧など対流圏内の気象現象の活動度,背景大気の大循環の変動を同様の関数として整理した. ・上記両者相互の関係を求めた.例えば,重力波活動度,積雲活動度,大循環の全てが準2年周期で振動しているらしいことなどが前年度までの研究でわかってきているので,それらを念頭において解析を進めた. ・上記の成果を国内および国外の学会で発表し,他研究者との議論・情報交換も密に行うとともに,学術雑誌に論文として投稿することを目指している.国外における発表は,アジアモンスーンやエネルギー・水収支に関して6月に北京で行われたものなどであった.
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