研究概要 |
平成12年度は次のような研究を行い,成果を得た。 (1)火山噴火,あるいは火山災害や地球環境への影響において重要な役割を果たす揮発性物質の起源について画期的なことがこの研究を通じて明らかになりつつある。マグマ中の揮発性物質には海洋性堆積岩起源のものもあるが,それらは常識的にはマグマ中では流体となり,最終的にはガスとして逃げるか,あるいはグラファイトとなると考えられていたが,マグマ中にトラップされ,マグマ固結過程で重合し,高分子化するものがあることが判明した。 (2)火砕流の熱的規模を推定するために,本研究で得られた成果の一つである炭化木片H/C温度-速度計と古地磁気学を用いて、デイサイトからなる三瓶山の火砕流堆積物の定置温度と冷却速度を求め,公表した。また,削剥された過去の火砕流堆積物の復元を埋没林に記録された炭化度から推定した。 (3)石鎚火山-深成複合岩体を対象として火山岩,貫入岩,火砕岩の地質,記載岩石学,岩石化学から火成活動史を明らかにした。特にカタストロフィックな短期間における大規模の火砕流の発生とコールドロン陥没の関係が明瞭となり,貫入岩体における結晶作用や組成変化からマグマ溜りにおける固結過程,火山ガラスや火砕流堆積物の組成変化からマグマ溜りで起こっているダイナミズムも解った。 (4)石鎚火山-深成複合岩体と熊野酸性岩における噴出岩と貫入岩の対応関係から揮発性成分のマグマ溜りや噴火過程での脱ガスやトラップの様式について予察的な研究ができた。
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