島弧下部地殻物質の地震波速度測定の高温高圧下における測定を行いと島弧地殻の岩石学的構造モデルを構築した。すなわち、(1)比較的大容量試料の弾性波速度測定のためのピストンシリンダー高圧・高温発生装置を新たに開発した。長時間高圧下において安定して弾性波速度を大容量の試料(直径14mm、長さ12mmの円筒状試料)について400℃までの温度領域で正確に測定できた。(2)伊豆-ボニン-マリアナ弧と本州弧の衝突帯に露出する伊豆-ボニン-マリアナ弧地殻深部に相当する丹沢深成岩の弾性波速度の高温高圧下測定を行った、測定結果を伊豆-ボニン-マリアナ弧の地震波速度構造(Suyehiro et al.1996)と対比し、岩石学的地殻構造モデルを構築した。(3)一の目潟と高島に産出する下部地殻起源捕獲岩類とについても同様な測定を行い、本州弧の岩石学的地殻断面モデルを検出した。(4)実験結果から、伊豆弧および東北・西南日本を代表すると思われる下部-中部地殻物質の地震波速度および弾性定数の岩石組織・化学組成依存性が明らかになり、地震波速度構造からの大陸や島弧地殻の構成岩石や化学組成を深さごとに詳細に推定した。これら研究結果の一部を平成11年米国地球物理学連合秋季大会と日本地質学会学術講演会などで報告した。
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