研究課題/領域番号 |
10440153
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
奥野 正幸 金沢大学, 理学部, 助教授 (40183032)
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研究分担者 |
寅丸 敦志 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (50202205)
石渡 明 金沢大学, 理学部, 助教授 (90184572)
木原 國昭 金沢大学, 理学部, 教授 (70019503)
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キーワード | マグマ / ガラス / 結晶化 / 融解 / 構造解析 / 赤外分光 / ラマン分光 / X線回折法 |
研究概要 |
本研究は鉱物結晶の融解および結晶化の現象を融液の側からその構造・組織ならびに組成の変化に注目しながら解明して行くことを目的としている。昨年度までに、ガラス(融液)の構造に関する研究、および結晶化過程でガラス(融液)と結晶相の共存する珪酸塩物質について研究を進めてきた。本年度は、地球物質の融液やガラスの構造解明を続けるとともに、岩石・鉱物の融解ならびに融液(ガラス)の結晶化過程における融液やガラスの構造および結晶相の変化についてつぎのような研究を行った。 (1)ブラウン管ガラス中に生じた微小なガラス状のインクル-ジョンとその中の極微小結晶相について、イメージング・プレートを用いたX線回折測定と顕微ラマン分光測定を行った。その結果、数ミクロンのスケールの結晶相はromeiteであることを明らかにした。また、romeiteを含む微小なガラス相は周囲のガラス(珪酸塩液体)よりSbに冨み、このガラスの構造を解析することによりSbがガラスのネットワーク構造の擾乱を引き起していることが明らかになった。このネットワーク構造の乱れが、romeite結晶の晶出に関係していると推測される。 (2)水を含む珪酸塩鉱物、魚眼石(apophyllite)の高温における水の状態変化と非晶質化の過程を加熱ステージを用いた高温でのその場(in-situ)赤外吸収測定によって調べた。その結果、apophyllite結晶中のH2OとOH基は約220℃と420℃で失われ、それ以上の温度で非晶質化することを明らかにした。 (3)CaSiO3及びCaMgSi2O6組成のガラスを熔融法で作成し、20℃と500℃で2.5、5.0、7.5GPaの圧力で圧縮しその密度変化を調べた。 (4)2成分系の結晶化の数値実験を行い、それを火成岩の組織の生成過程に応用した。火山岩と深成岩の組織の相異は2桁に及ぶ冷却速度の違いが原因であることを明らかにした。 (5)上記の結果および関連研究の結果をまとめ、学術雑誌ならびに学会に発表・公表した。
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