研究概要 |
燒結ダイアモンドによる超高圧高温の発生を行い、以下のように幾つかの線に沿って実験を遂行した。 (1)放射光によるX線その場観察によってSnO_2のCaCl_2型からα-PbO_2型さらに立方晶(Pa3-)への転移はそれぞれ15,17GPaで生ずることが判明した。立方晶のP-V-Tの関係を29GPa、1400Kまで調べ、常圧下での単位胞体積と体積弾性率はそれぞれ130.6(3)Å^3,246(9)GPa、25GPaでの熱膨張率は1.7(4)x10^<-5>K^<-1>と決定された。また、鉄の状態を約40GPa,1600Kまで観察し、ε-γ相境界線の決定と30GPa以上において存在が主張されている第5番目の固相βの探査を行った。その存在を確認できなかったが、条件を拡大して継続している。 (2)(Mg,Fe)O-SiO_2系の溶融実験を40GPaまで行い、ペリドタイトの結果と比較して、30GPa以上においてペロブスカイトのリキダス相としての晶出に少量のAl_2O_3の存在が必須であることが明らかになった。 (3)MORB組成の物質について相平衡関係を37GPaまで調べ、出現する相の化学組成とそれぞれの量比を決定した。その結果、最近報告されている沈み込むスラブの下方900-1100kmに存在する地震学的不連続に対応する相変化は認められなかった。しかし、この物質の下部マントル上半部における密度は平均的な密度より高く下部マントルにおいてもスラブは沈み込み得ることが示された。
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