本研究によって得られた主な成果は以下の通りである。 (1)背孤海盆熱水系における炭酸塩鉱物の地球化学的生物(産状;化学組成、同位体組成等)が明らかになった。炭酸塩化物の生成が海洋環境、大気環境医に大きな影響を与えることが示唆される。 (2)背孤海盆-島孤系からの熱水中の二酸化炭素濃度は、海嶺からの熱水中の二酸化炭素濃度よりもかなり大きい。 (3)背孤海盆-島孤系からの熱水、火山ガスによる二酸化炭素フラックスは海嶺からのフラックスに比べてかなり大きい。 (4)背孤海盆-島孤からの熱水、火山ガスによる二酸化炭素フラックスを入れたグローバル炭素循環に関するシミュレーションを行った。その結果、新生代前期、中期における温暖化はこれらのフラックスによるという結果が得られた。この結果は、他の地盤学的、地球科学的データ(酸素同位体組成、希土類組成、火成活動、熱水活動の時期等)と矛盾がない。しかしながら、中期中新世(1500万年前)から現在にかけての寒冷化はシミュレーションでは説明できない。
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