研究概要 |
地震や火山活動に伴って生じる揮発性元素移動のメカニズムを解明するためには,微小なクラックの形成とガスの放出という素過程を定量的に特徴づけることが重要である。本研究では,岩石中の微小な亀裂を満たす気体や液体の微視的な挙動を理解するために室内での岩石変形・破壊実験システムを新たに製作した。平成10年度には次の成果を得た。 1. 実験システムの製作 サンプルホルダー(東京大学理学部化学教室金工室に製作以来),微量ガス対応型四重極質量分析計,真空配管・バルブ,気体交換モジュール,および油圧プレスを接続し,岩石変形実験システムを組み上げた。 2. 岩石変形実験の実施 東京大学地震研究所の岩石試料製作室の試料成形機器類を用いて円筒形に成形した岩石試料をサンプルホルダーに固定し,油圧プレスで岩石が破壊するまで徐々に圧縮しながらリアルタイムでガス放出をモニタリングすることに成功。さらに種々の条件下におけるガス放出パターンの比較検討を行なった。その結果,ある条件の元では最終破壊の直前に特殊なガス放出パターンがみられることがわかった。これは,ガスの放出から破壊の予測が可能であることを示唆するものである。
|