アレンデ隕石を水中に入れ凍らせるというサイクルを数100回繰り返した時に水面に浮かぶ黒い物質がある。この物質は炭素物質であり、希ガスの元素存在度、同位体組成から見て、隕石を塩酸/フッ酸で処理した時の残渣物質と非常に良く似た性質を持つことがわかった。元素存在度は隕石の全岩試料に対して数桁濃縮しており、ほとんど全ての同位体組成は残渣物質と一致している。唯一の相違は129Xe/132Xe比であり、今回得た試料では残渣物質と比較して大変低い値になっていた。これは化学処理において、129Xeの再吸着があることを示唆している。なお、QとHL成分の比率が試料によって異なっており、このことはQとHL成分が物理的に分解できることを暗示している。この論文を投稿、受理された。 この物質について、さらにQとHし成分を分離するためアイソプロパノール中で物質を分散させ、pHの違いによりコロイドになるかどうかによる分離をおこなった。この処置によりプリソーラーダイヤモンドを取り除いた後、NaPTを重液として用いた比重分離を行い、合計7つの試料を用意した。これらの試料について来年度に希ガス測定を行う予定である。 また、アレンデ隕石のマトリックを圧力容器に入れ、200℃で1時間放置し、熱水作用によりQとHL成分がどのように減少するかの予備実験を行った。アレンデ隕石のマトリックは色が黒色から茶色に変色し、1000℃、1200℃においてQとHL成分ともに減少することがわかった。
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