アレンデ隕石を水中に入れ凍らせるというサイクルを数100回繰繰り返した時に水面に浮かぶ黒い物質がある。この物質は炭素物質であり、希ガスの元素存在度、同位体組成から見て、隕石を塩酸/フッ酸で処理した時の残渣物質と非常に良く似た性質を持つ。この手法の再現性をみるため、別のアレンデ隕石試料に同様の処置を行い、希ガス測定を試みた.希ガスの濃縮は確認されたが、129Xe/132Xe比は前回と異なり、少し高い値になっており、シリケイトの混入の為であるとした.この論文を投稿受理された。 また、アレンデ隕石のマトリックを圧力容器に入れ、200℃で1週間放置し、熱水作用によりQとHL成分がどのように減少するかの予備実験を行い、1000℃、1200℃においてQとHL成分ともに減少することがわかったが、この結果についても論文を投稿受理された。さらに2週間、3週間、4週間と変化をさせてどのような変化がでるか調べたが、Qの方が水質変成により、より大きく減少すること、また面白いことに宇宙線照射起源のNe成分が取り除かれることが新たにわかった。 また、Qが有機物であるという可能性を追求するため、トルエンでアレンデ隕石の酸残渣を抽出し、残った物質とトルエン中の希ガス測定を行った。残った物質の希ガス組成に変化はなく、Qがトルエンで抽出されるような有機物質でないということが判明した。 なお、前述の浮いた黒い物質について、さらにQとHL成分を分離するためアイソプロパノ-ル中で物質を分散させ、pHの違いによりコロイドになるかどうかによる分離をおこなった。この処置によりプリソーラーダイヤモンドを取り除いた後、NaPTを重液として用いた比重分離を行い、合計7つの試料を用意していたが、これらの試料についての希ガス測定は質量分析計の調子が良くないため延期中である。
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