研究概要 |
構造情報を求めるための固体NMR法として,以下のような手法の開発と応用研究を行った. (1)1次元重水素交換試料Turning法(J.Magn.Reson.1999) 試料を磁場中でTurningすることで重水素間の分極移動を起こす1次元実験法を開発し,この方法でC-D結合のなす角度を精密に(±0.4度)求めることが出来ることを示した. (2)RIRによる^<13>C-^<13>C分極移動法(Chem.Phys.Lett.1999) 高速回転下で^1H-^<13>C間双極子相互作用を復活することの出来るパルス法を開発し(Solid State Nucl.Magn.Reson.1999),それを用いた^<13>C-^<13>C間の分極移動を促進する原理(RIR:Resonant Interference Recoupling)を考案した.さらに,実験的に分極移動を確認した. (3)R2TR法を用いた分子全体の3次元構造解析(J.Am.Chem.Soc.1999;J.Biol.Nucl.Magn.Reson.印刷中) 我々が1995年に発表したR2TR法(Rotational Resonance in the Tilted Rotating Frame)を用いて,炭素,窒素を全て^<13>C,^<16>Nで同位体置換したL-グリシルイソロイシンの3次元構造を決定した.これは,固体NMR法で分子全体の3次元構造を決定した初めてのものである.
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