短パルス放電励起で生成した準安定希ガス原子線を用いた飛行時間法と六極電場法による配向分子線法を組み合わせることで、ペニングイオン化過程に関する速度選別立体オパシティ関数を決定することに成功した。低エネルギー領域での立体オパシティ関数は関与する分子軌道の空間分布と良い相関を示した。これによりペニングイオン化過程が電子交換により引き起こされることを始めて実験的に検証した。また衝突エネルギーが高くなるにつれて、立体オパシティ関数は顕著な振動構造を示した。各配向角における反応断面積の衝突エネルギー依存性は、理論的に求めた分子間ポテンシャルの形状と一致していないことが分かった。 これはペニングイオン化過程と競争する中性解離への反応分岐の立体異方性と衝突エネルギー依存性に起因していると考えられる。その反応機構としてペニングイオン化により放出された低速電子によるイオンコアの振動励起と電子補足を伴うFeshbach共鳴の存在を提唱した。
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