研究課題/領域番号 |
10440178
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
小谷野 猪之助 姫路工業大学, 理学部, 教授 (80016089)
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研究分担者 |
福澄 孝博 姫路工業大学, 理学部, 助手 (20244684)
本間 健二 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (30150288)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 内殻励起 / 内殻正孔状態 / 超高速解離過程 / シンクロトロン放射光 / 光電子 / オージェー電子スペクトル / 電子-イオンコインシデンス測定 |
研究概要 |
研究実施計画の線に沿って、本年度は放射光施設(SPring-8)において(1)円筒鏡型電子エネルギー分析器による高分解能共鳴オージェー電子スペクトルの測定を進めるとともに、(2)高分解能飛行時間質量分析計と二つの阻止電場型イオンエネルギー分析器の併用法による CO_2 の O 1s 内殻電子励起に伴う超高速解離過程の観測を行った。(1)においては、ネオンの1s→3p励起に続いて起こる共鳴オージェー電子放出と、共鳴オージェー電子が放出された後に起こる第2段オージェー電子放出の、励起光電気ベクトルに対する角度分布測定を行った。共鳴オージェー電子は等方的に放出されるのに対し、第2段オージェー電子は非等方的に出現することがわかり、偏光により励起された 3p 電子は最初のオージェー過程には参与せず傍観者として振る舞い、偏極を保ったまま第2段オージェー過程に参与することなどが実験的に明らかにされた。一方、(2)においては、使用したビームラインの高分解能性と備光特性を利用して、O 1s→2π共鳴吸収幅内で波長を変えた励起を行い、高いエネルギーを持って放出される O^+および C^+イオンの角度分布を測定することに成功した。1s→2π励起された CO_2分子は電気ベクトルと直角方向を向いているはずであるのに、3eV以上のエネルギーを持った C^+イオンは電気ベクトル方向にも観測されることがわかり、CO_2分子の O 1s電子を 2π軌道に励起すると分子は変形し始め、曲がった状態から解離することなどが証明された。さらに、これらの超高速解離過程の解明を一層進展させるために、(3)位置感知型2次元検出器2枚を用いた反跳イオン運動量スペクトル測定装置(電子およびフラグメントイオンの検出器上の到着位置とそこへ到着するまでの飛行時間を同時に測定する装置)の立ち上げを行い、放射光施設に設置・調整し予備的データをとるところまでこぎ着けた。
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