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1998 年度 実績報告書

七次の光学非線形現象に基づいた二次元ラマン分光法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 10440181
研究機関神戸大学

研究代表者

富永 圭介  神戸大学, 理学部, 助教授 (30202203)

キーワード二次元ラマン分光 / 高次非線形現象 / 超高速分光 / チタンサファイアレーザー / 液体ダイナミクス
研究概要

二次元ラマン分光法は二次元NMR分光法の原理を振動状態に対して応用した手法であり、振動状態間の相関を観測することにより複雑な分子の構造や電子状態についての知見を得ることができる。従来、五次の光学非線形現象に基づく二次元ラマン分光が提唱され、我々のグループも含め世界的に五次の二次元ラマン分光が行われてきた。しかし、この五次の手法には本質的な問題があることを見いだし、それらを解決するために七次の二次元ラマン分光を提唱した。本研究では、七次の二次元ラマン分光に必要な高出力・超短パルスレーザーシステムを製作し、実験を行うこと、また理論的な枠組みを構築することを目的としている。レーザー装置の製作としては二つの異なる装置の製作を開始した。一つは色素溶液をレーザー媒体とする超短パルスレーザーシステムで、異なる波長の二つの短パルスをピコ秒以内のタイミングジッターで出すことができる。本年度は共振器及び増幅器を大幅改良し、3kHzの繰り返しでそれぞれ数μJ/pulseの出力エネルギーを得ることができた。このシステムは分子内振動に対する二次元ラマン分光を行うシステムであるが、予備実験として三次のコヒーレントアンチストークス散乱の実験を行い、S/N比のよいデータを得ることができた。もう一つのシステムはチタンサファイアをレーザー媒体とした固体レーザーであり、高安定・高出力・極超短パルスを期待することができる。本年度は、実験室の大幅改良、実験室環境の整備などを行い、チタンサファイアレーザーの製作に取りかかった。現在、CW発振を得ることができ、モードロックの調整を行っている。理論的には、光学的二次元分光に一般的に用いることができる手法をstochasitc-Liouville方程式を用いて導き、現在その数値計算を行うべくプログラミングを行っている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.J.Kang: "Femtosecond Relavation of Higher Electronic Excited State of Coumarin in Solution" Chem.Phys.Lett.287,1/2. 29-34 (1998)

  • [文献書誌] H.Shirota: "Substituent Effect and Deuterium Isotope Effect of Ultrafast Intermolecular Electron Transfer : Coumarin in Electron Donating Solvent" J.Phys.Chem.A.102,18. 3089-3102 (1998)

  • [文献書誌] K.Tominaga: "Overtone Vibrational Dephasing of Chloroform Studied by Higher-Order Nonlinear Spectroscopy" J.Phys.Chem.A.102,23. 4222-4228 (1998)

  • [文献書誌] H.Shirota: "Ultrafast Intermolecular Electron Transfer in Coumarin-Hydrazine System" Chem.Phys.236. 355-364 (1998)

  • [文献書誌] 富永圭介: "高次非線形分光" 分光研究. 47・2. 93-105 (1998)

  • [文献書誌] 富永圭介: "二次元ラマン分光の新展開" 光化学. (in press).

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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