研究課題/領域番号 |
10440189
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大坪 徹夫 広島大学, 工学部, 教授 (80029884)
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研究分担者 |
瀧宮 和男 広島大学, 工学部, 助手 (40263735)
安蘇 芳雄 九州大学, 基礎有機化学センター, 助教授 (60151065)
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キーワード | オリゴチオフェン / チオフェン / オリゴマー / 分子ワイヤー / ナノスケール分子 / 分子エレクトロニクス |
研究概要 |
ナノサイズをもつオリゴマー共役分子は低分子と高分子の両方の優れた特性を有しており、それを活かすことにより新しい機能性材料が探索できる可能性がある。しかしながら、10nm以上のサイズをもつナノ分子は未だほとんど知られていない。そこで本研究では、巨大なナノスケール分子の開発を目標として、熱的安定性が大きく、官能化が容易で、加工性に優れている5員環複素環化合物、チオフェン、セレノフェン、テルロフェンなどのオリゴマー化を検討した。オリゴチオフェンの合成研究では6量体、13量体、20量体、27量体、34量体までの一連の化合物の合成に成功した。27量体および34量体は10nm以上の鎖長のもつ長鎖分子ワイヤーの形状を有しており、分子エレクトロニクス材料のとして興味深い。そこで一連のオリゴチオフェンの電子スペクトル、レドックス電子、電導度の測定により、有効共役長の検討を行った。電子スペクトルでは、吸収、蛍光ともに環数の増加とともに吸収極大の長波長シフトおよび強度の増大が見られたが、27量体と34量体のスペクトルはほとんど同じで有効共役長は27量体まで延びていると結論された。サイクリックボルタンメトリでの酸化電位も環数とともに低下する傾向があり、酸化種の有効共役長も27量体まで延びていると推測された。また、ヨウ素ドープ下での電導度も鎖長と相関しており、27量体程度の共役セグメントが効率よく電導性に寄与していることが分かり、分子エレクトロニクスとしての貴重な情報を得た。
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