研究課題/領域番号 |
10440190
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
伊与田 正彦 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (50115995)
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研究分担者 |
桑谷 善之 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (00234625)
吉田 正人 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (50137030)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 電気伝導性 / 磁性 / テトラチアフルバレン / フェロセン / ラジカル塩 / πドナー |
研究概要 |
近年、磁性-伝導性-光物性という複合機能を持った新しい機能材料が注目を集めている。このような新規な機能は「安定なラジカルを組み込んだπ電子系化合物」および「有機-無機複合系におけるd-π電子相互作用の可能な分子」を基本単位とする分子集合体の新しい電子物性として期待されているものである。本研究では、新しい複合機能を持った有機分子の構築を目的として、以下の化合物を合成してその性質を調べた。 (1)テトラチアフルバレン・オリゴマー:複数のTTFを連結したTTFオリゴマーは、伝導性ポリマーの基本単位であり、高い伝導性が期待できる。また、TTFがカチオンラジカル状態で強磁性相互作用をする分子は、その伝導性と磁性の関係から興味深い。そこで、これらの分子を合成して、その伝導性と磁気的性質を調べた。その結果、幾つかのラジカル塩は高い伝導性を示し、また他のラジカル塩は三重項ラジカルの存在を示した。 (2)フェロセニルテトラチアフルバレン:TTF部分での導電性と、フェロセン部分における強磁性の発現が期待できる標題分子を合成した。また、それらのCT錯体とラジカル塩を調製してその電気伝導性と磁性について調べた。その結果、標題分子のTTF部分のみが酸化されたCT錯体とラジカル塩、および両者が酸化されたラジカル塩を得ており、幾つかの系は伝導性を示し、さらに、ESRが観測されるラジカル塩も得た。 (3)ハロゲン置換テトラチアフルバレン:TTFにハロゲンを導入した分子は、ハロゲン部分の弱い相互作用によって分子が並んだラジカル塩を形成するので、対イオンとして磁性をもったアニオンを選べばTTFのラジカルカチオンとアニオン上のスピンが相互作用することが期待できる。そこで、ニッケル(III)イオンを導入したラジカル塩を調製して、その物性を調べたところ、磁性を持った有機伝導体を構築することができた。
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