研究課題/領域番号 |
10440202
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大谷 文章 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (80176924)
|
研究分担者 |
魚崎 浩平 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20133697)
池田 茂 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助手 (40312417)
|
キーワード | 懸濁半導体粉末 / 光触媒反応 / 超短パルスレーザ / 酸化チタン / アナタース / ルチル / 電子-正孔再結合 / 再結合速度定数 |
研究概要 |
半導体による光電極反応や、粉末系の光触媒反応の界面電子移動過程はサブピコ〜ピコ秒の非常に短い時間領域で進行することが知られており、超短パルスレーザーを用いた光励起電子と正孔の反応・再結合初期過程の追跡が行われている。しかしこれまでレーザーシステムの都合上、単一波長励起での測定しか行われていない。本研究では光励起電子と正孔の再結合初期過程をより詳細に検討するため、広範囲で波長変換可能なフェムト秒レーザーシステムを導入し、過度吸収の励起波長依存性について検討した。昨年度に引き続き飼料としてアナタース型とルチル型の結晶構造をそれぞれもつさまざまな酸化チタン粉末および板状酸化チタン試料を用いた。フェムト秒過渡反射吸収分光法は、再生増幅されたモードロック型チタンサファイアレーザーからのパルス光(パルス幅100fs、波長790nm、繰り返し周波数1kHz)をシードとする2台の波長可変レーザー(パルス幅100fs、波長300nm〜10μm、繰り返し周波数1kHz)をポンプ光、プローブ光発生用として用い、酸化チタン粉末へのポンプ光入射前後の反射率変化を記録した。プローブ光波長を620nm、ポンプ光(励起光)を310nmとすると、きわめて速い(ほぼ検出限界)吸収の立ち上がりとその減衰が観測された。いずれの粉末状試料を用いる場合には減衰速度の違いはあるものの挙動はほぼ同じであり、速い二次減衰成分と遅い減衰成分の和で表されることがわかった。多結晶酸化チタン板でも同様であることから、多結晶試料では粉末と同じように微粒子ひとつひとつで光吸収とその減衰が起こると思われる。一方、単結晶試料では素早い吸収の立ち上がりは観測されるものの、測定時間範囲(約200nm)内ではほとんど減衰は見られなかった。これは、全体に占める表面の割合が粉末や多結晶体とくらべて小さいために、結晶の欠陥部位が少なく、励起電子-正孔の再結合が遅いためと考えられる。
|