• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

1:1組成をもつ金属的有機伝導体の伝導機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 10440204
研究機関東京工業大学

研究代表者

森 健彦  東京工業大学, 工学部, 助教授 (60174372)

キーワード有機伝導体 / モット絶縁体 / ハバードモデル / スピン・電荷分離 / α-π相互作用
研究概要

1:1組成を持った新しい金属的有機伝導体として(TTM-TTP)[C(CN)_3]を発見した。この錯体は先に報告した(TTM-TTP)I_3よりも複雑な構造を持ち、2種類の傾きを持つカラムが存在するが、カラム内の構造はI_3塩とまったく同様のユニフォームな積み重なりからなる。したがってI_3塩同様1次元性の極めて強い伝導体である。この塩は先のI3塩(160K)よりも低温の70K付近まで金属的伝導性を示す。これはこれまでのどころl:l組成の有機伝導体において最も低温まで金属的な記録である。また高圧下では転移温度はさらに低下する。熱起電力は厳密にゼロにはならないが、静磁化率は低温まで平坦な常磁性的振る舞いを示すので、低温の絶縁相はモットハバード絶縁体であると考えられる。このような振る舞いは1次元ハバードモデルにおけるスピン・電荷分離で説明可能である。このほか新しい1:1組成を持つ錯体として(TTM-TTP)HgI_3(TCE)、(TTM-TTP)FeCl_4を合成した。これらはいずれも二量化を起こしているため金属的伝導性は示さないが、比較的高伝導性を示す。特に後者は磁性アニオンを含んでいるので、有機ドナーとアニオンとの間の磁気的相互作用について理論的に検討したところ、かなり大きな磁気的相互作用が存在することが分かった。しかしながら静磁化率の測定からはFeに由来する比較的相互作用の小さなキュリー・ワイス的磁化率が得られており、有機分子上の伝導電子にギャップがあるため、磁気的相互作用が伝わらないものと考えられる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] T.Mori,H.Mori and S.Tanaka: "Structural Genealogy of BEDT-TTF-Based Orgamic Conductors II : Non-Parallel Molecules.θ and k-phases" Bull.Chem.Soc.Jpn. 72. No.2 (1999)

  • [文献書誌] T.Mori et.al: "TTM-TTP-based metallic conductor with a half-filled band" Synth.Metals. (印刷中). (1999)

  • [文献書誌] M.Maesato et.al: "Metal-insulator transition of the ID half-filled metal (TTM-TTP) I_3" Synth.Metals. (印刷中). (1999)

  • [文献書誌] N.Fujimura et.al: "Low temperature X-ray and ESR study of one-dimensional compound (TTM-TTP) I_3" Synth.Metals. (印刷中). (1999)

  • [文献書誌] T.Mori: "Structural Genealogy of BEDT-TTF-Based Orgamic Conductors I : Parallel Molecules.β and β^"-Phases" Bull.Chem.Soc.Jpn.71. 2509-2526 (1998)

  • [文献書誌] T.Mori et.al: "Novel One-Dimensional Organic Conductor Based on Selencules Containing Bis-Fused Tefrathiafulvalene Derivative (TTM-TTP)HN5/3" Bull.Chem.Soc.Jpn.71. 1321-1326 (1999)

  • [文献書誌] T.Kawamoto et al.: "Metal-insulator Transition in the One-Dimensional organic Conductor (TSM-TTP) (I_3)5/3" Physica C. 299. 36-40 (1998)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi