研究課題/領域番号 |
10440205
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
関 一彦 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (80124220)
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研究分担者 |
梶川 浩太郎 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10214305)
大内 幸雄 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60194081)
石井 久夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60232237)
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キーワード | 有機 / 金属界面 / 有機 / 有機界面 / 界面電子構造 / 光電子分光 / 有機電界発光素子 / エピタクシャル成長 / p-セクシフェニル |
研究概要 |
(1) 既存装置による有機/金属界面の系統的研究の継続は順調に進行している。金属基板の清浄化に本研究で購入したイオン銃を用いている。また、発展的研究課題である有機/有機界面でも実験を行うことができた。従来金属上に有機物を真空蒸着によって堆積させて界面を作成していたが、逆に、有機膜上に金属を堆積する順序で界面を作成して電子構造を調べる実験を、Mg,Auと、ポリ(p-フェニレン)のモデル物質p-sexiphenylの組合せについて行った。金属の蒸着に本研究で購入した蒸着源を用いている。この結果、堆積順序によって界面電子構造に違いがでること、金属が有機物中に拡散している可能性があることを見出した。 (2) 実際の有機電界発光素子で、陰極金属の堆積前にLiF等の極薄層を予め堆積させることでの電荷の注入効率の著しい向上が報告されている。この系の界面電子構造を紫外光電子分光法で調べたところ、絶縁層を挟むと電子の注入障壁が0.2eV程度減少し、効率向上に寄与している可能性があることが分かった。 (3) 簡便に金属配向面を作るため、雲母の劈開面上に超高真空中で金や銀を蒸着して配向面を出すことを試み、Au(III)面作成に成功した。また、銀では予め作成したAu(III)面上に銀を蒸着することでAg(III)面の作成に成功した。さらにこの上に長鎖アルカンn-C44H90を蒸着してエピタキシャル成長させることに成功し、この過程を反射吸収赤外分光法により追跡した結果、第1層、第2層、多層膜などによって構造が微妙に変化していく様子を解析することができた。この結果を10月の表面振動分光国際会議(葉山)で報告した。また、これまで行ってきた有機/金属界面電子構造の系統的研究をまとめ、IEEEJ.Topics in Quantum Electronicsの有機電界発光素子特集号の招待論文としてまとめた。また、上記の最新の研究結果や他の世界における関連研究と併せ、Advanced Materials誌に招かれて総説を執筆中である。
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