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1999 年度 実績報告書

トンネル現象をプローブとした複雑系の動的構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 10440206
研究機関大阪大学

研究代表者

稲葉 章  大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30135652)

キーワードトンネル現象 / 複雑系 / 中性子散乱 / ダイポールガラス
研究概要

複雑系の特質は.マクロな観測手法によって得られた結果を,ミクロな観測手法によって得られた結果に還元しようとする際に、非線形相互作用が不可欠であるという点である.本研究で対象とする系では,いずれも,熱容量測定(マクロな観測手法)による結果と中性子散乱実険(ミクロな観測手法)による結果を両者とも矛盾なく説明するには,何らかの非線型性や非平衡,乱れを前提としなければならないにとが分かってきた.そこで,これらの系に対象を絞って,より系統的な研究を行うことにより,その複雑性を解明しようというのが本研究の目的である.
前年度は,極低温発生装置としてヘリウム希釈冷凍繊を導入し,熱容量測定を可能にするために熱スイッチを作製し,これを組み込んだ.また,試行錯誤の結果,熱量計部分を適切な断熱条件に置くことができた.現時点で定常的に熱容量データが得られる最低温度は0.2Kである.(今後,断熱条件を改良するなどして最低温度を0.1Kにしたいと考えている.)
今年度は,熱容量測定の精度を決定している精密温度測定を可能にすべく,交流抵抗ブリッジを新規に構入した.その結果,これまでの直流抵抗測定に比べ格段に精度が向上した.希薄(孤立)アンモニウムイオンを対象として,Kl/Rbl系の組織変化による影響を調べるため種々の試料について無容量測定を行った.いずれの場合も,最低温度を0.7Kとするこれまでのわれわれのデータとよく一致し,0.2Kまで拡張することができた.グラファイト表面に吸着した同位体メタン単分子膜のトンネル励起を測定するため,熱量計セルを設計,製作した.今年度で測定系の整備を完了したので,最終年度である来年度は熱容量測定に集中するつもりである.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T. Matsuo: "Calorimetric Study of Proton Tunneling in Solid 5-Bromo-9-hydroxyphenalenone and Deuteration-induced Phase Transitions in Its Deuteroxy Analog"J. Chem. Phys.. 108(23). 9809-9816 (1998)

  • [文献書誌] P.S. Goyal: "Tunnelling States an Anomalous Specific Heat of Disordered Solids at Low Temperatures"Solid State Commun.. 111(2). 85-88 (1999)

  • [文献書誌] A. Inaba: "Lattice Vibrations and Thermodynamic Stability of Polymerized C_<60> Deduced From Heat Capacities"J. Chem. Phys.. 110(24). 12226-12232 (1999)

  • [文献書誌] Y. Inamura: "Peculiar Suppression of the Specific Heat and Boson Peak Intensity of Densified SiO_2 Glass"Physica. B263-264. 299-302 (1999)

  • [文献書誌] P. Nagel: "C_<60> One- and Two-Dimensional Polymers, Dimers. and Hard Fullerite : Thermal Expansion, Anharmonicity, and Kinetics of Depolyerization"Phys. Rev.. B60(24). 16920-16927 (1999)

  • [文献書誌] A. Inaba: "Heat Capacities of Icosahedral and Hexagonal Phases of Zn-Mg-Y System"Materials Science and Engineering A. (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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