研究課題/領域番号 |
10440209
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山下 和男 広島大学, 総合科学部, 教授 (40034566)
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研究分担者 |
功刀 義人 広島大学, 総合科学部, 助手 (90243518)
播磨 裕 広島大学, 総合科学部, 教授 (20156524)
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キーワード | 有機半導体 / 電子エネルギー構造 / 有機金属界面 / ショットキーモット則 / ケルビン法 / 仕事関数 / チエニレン-シラニレンコポリマー |
研究概要 |
パイ電子共役系大環状分子、導電性高分子およびオリゴチエニレン-オリゴシラニレンコポリマーの薄膜を対象にして、これら有機半導体の光電子機能を利用する有機電子デバイスの特性を理解し、デバイスの高効率化を図る際、重要な指針となる膜の電気化学的特牲、光学的特性、仕事関数などの測定、並びに有機/金属界面の電子エネルギー構造の解明を行った。測定はデバイスが実際使用される環境を考慮して敢えて大気中で行った。オリゴチエニレン-オリゴシラニレンコポリマーの化学構造と電気化学的および光学的性質との関係を詳細に解明した。たとえば、コポリマー鎖中のSi-Si結合は電解酸化によって一部分開裂するが、分解生成物の再酸化生成膜によって後続の開裂反応が抑制される。2段階酸化過程でカチオンとジカチオンラジカルおよびダイマーが生成する。またアニオンのドーピングに伴って膜の伝導性がp型半導体性を示し、これらの酸化還元過程は用いる電解質アニオンの影響を強く受けることなどが明らかになった。さらにパイ共役系とシグマ共役系の大きさを変えることによりコポリマー膜の光吸収、蛍光など光学的特性を制御できることを見いだした。ポルフィリンやフタロシアニンなどの分子半導体(MS)および各種ポリ(3-アリルチオフェン)(PAT)のサンドイッチ型セル(金属/MS(又はPAT)/IT0)の光電流測定から求めた拡散電位と金属の仕事関数の間にSchottky-Mott(S-M)則が成立することを検証し、これら有機半導体の仕事関数(フェルミ準位)の評価法としてS-M則が大変有用であることを示した。MSあるいはPAT膜についてS-M則から求めた仕事関数値に比ベ、Kelvin法で求めた値が0.1-0.3eV大きい場合がある。これらのズレはMS表面でのH_2Oの吸着あるいは含フッ素アリル基に由来するPAT/空気界面での双極子(表面電位)に帰することができる。
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