研究概要 |
1.2,2,6,6-テトラ(p-クロロフェニル)-3,5-ジメチル-1,5-ジオキサ-4λ^5-ホスファスピロ[3.3]ヘプタンを安定化合物として合成できた。別途合成用の三価のビス(β-ヒドロキシアルキル)ホスフィンの二つのヒドロキシ基の酸素とリンとの間の相互作用は単純化したモデルの理論計算から、酸素の孤立電子対とリン-炭素結合のσ^*軌道相互作用として理解できることが分かった。2.ケイ素類縁体、スピロビ[1,2-オキサシレタニド]は合成できたが、室温で徐々に分解した。加水分解後処理したところ、homo-Brook転位生成物であるアルコールが得られた。Martinリガンドを有する5配位1,2-オキサシレタニドとの反応性の差異は、オキサシレタニド環の3位の置換基の嵩高さとプロトンの酸性度により説明できることが分かった。3.1,5-ジオキサ-4λ^4-セレナスピロ[3.3]ヘプタンは計画通り合成に成功した。ビス(フェニルチオメチル)セレニドからSe(CH(SPh)C(CF_3)_2OH_2)のdl体およびmeso体を合成した。これらをトリエチルアミン存在下、臭素を作用してセレン上で酸化的環化を行い、目的の化合物のtrans-trans体およびcis-trans体を得ることができた。これらの熱分解では二分子の相当するオキシランと単体セレンを与えることが分かった。フェニルチオ基をフェニル基に換えた化合物はtrans-trans体のみ合成できた。4.テルル類縁体はPhSCHPhC(CF_3)_2OHを調製し、リチウムp,p'-ジ-t-ブチルビフェニリドによりフェニルチオ基を還元的に脱離し、相当するジリチオ体、LiCHPhC(CF_3)_2OLiを発生させ、TeCl_4と反応させることで、目的の化合物の合成に成功した。幾つかの化合物のX線結晶構造解析にも成功した。以上のように、本研究計画は計画通り遂行できた。
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