研究概要 |
1.オキシム誘導体からのアルキリデンアミニルラジカル種の生成,及び,その複素環式化合物合成への応用に関する検討を行った。β位に3-インドリル基が置換したO-2,4-ジニトロフェニルケトンオキシムに対し還元剤を作用させることによりα-カルボリン類を収率良く得ることができた。本手法を鍵として抗サルモネラ菌活性天然物AαCの全合成を達成した。また,酸性条件において,γ,δ-不飽和ケトンのO-アセチルオキシム誘導体に触媒量のフェノール誘導体を作用させると環状イミンが収率良く得られることを見いだした。いずれの反応も,電子移動による生じるアルキリデンアミニルラジカル種を経由していると考えられる。このように,アミノラジカル種を利用した新たな含窒素複素環式化合物の合成法を確立することができた。 2.先に,パラジウムなどの遷移金属錯体がオキシムの窒素-酸素結合へ酸化的付加反応し,アルキリデンアミノ金属種を与えることを見いだしており,これを中間体とするHeck型反応による複素環化合物の合成の検討を行った。β-シクロヘプタトリエニルケトンオキシム誘導体に塩基存在下Pd(0)を作用させると1-アザアズレン類が合成できることがわかった。また,連続型環化反応に応用することで,スピロイミンや縮環型イミンを合成することができた。
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