研究課題/領域番号 |
10440214
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物質変換
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 啓介 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90162940)
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研究分担者 |
大森 建 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50282819)
松本 隆司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (70212222)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | プラジミシン / ベナノミシン / 抗生物質 / 全合成 |
研究概要 |
プラジミシン類ならびにバナノミシン類は放線菌由来の化合物群である。これらは、ベンゾ[a]ナフタセンキノン骨格を母核とし、これにアミノ酸、糖鎖が結合した特徴的な構造を有し、顕著な抗真菌、抗HIV活性を示す点で興味深い。また、これらの生理活性の起源が特定糖鎖との相互作用にあると提唱されている点も注目される。これらの観点から本研究では、その全合成研究を行った。 はじめに、プラジミシン類のB環部に存在するトランスジオールの立体選択的構築に関し、検討を行った。そして、ビアリール-o,o'-ジアルデヒドの分子内ピナコール生成反応がジアステレオ選択的にトランスのジオールを与えることを明らかにした。また、出発物質の軸不斉を、生じる二つの中心不斉に転写可能であることを見出し、この反応が立体特異的に進行することを明らかにした。 以上の検討で得られた知見を生かし、実際にプラジミシン類のアグリコンであるプラジミシノンの全合成を検討した。その結果、(1)A環フラグメントならびにCD環フラグメントの合成、(2)両者の縮合によるエステルへの誘導、(3)分子内ビアリール結合生成反応によるA-CD環部の構築および光学分割、を経て光学活性なビアリールジアルデヒドを得ることができた。さらに、分子内ピナコール生成反応による立体選択的なB環ジオール部の構築した後、Diels-Alder反応によるE環の構築、アミノ酸の導入を行い、プラジミシノンの全合成を達成した。 以上、本研究では、プラジミシン類の母核部分の効率的な合成法を開発し、プラジミシノンの初の全合成を達成した。これらの成果は糖鎖認識研究において望まれている非天然型プラジミシン類の各種誘導体を供する可能性を示すものであると共に、複雑な構造を有する天然物の全合成研究において新局面を開いたものである。
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