研究概要 |
ワンポット連続的グリコシル化反応は3〜5糖程度の糖鎖ブロックの合成に適しており、その他の手法と相補的に利用することによって糖鎖合成の効率化に大いに寄与するものと期持されている。 まず申請者らの研究室で独自に見出だされた上記の反応を活用し、1-O-フェニル炭素エステル糖およびチオグリコシドを糖供与体とする二つの立体選択的グリコシル化反応を活用してGlcβ1-6Glcβ1-6Glc構造の三糖がワンポットグリコシル化反応により最高83%の高収率で得られることを明らかにした。さらにより一般性の高い糖鎖合成手法を確立するために各段階のグリコシル化反応について詳細に検討し、1段階目のグリコシル化では2位水酸基のみをp-トルオイル基、3,4,6位の水酸基をペンジル基で保護した1-O-フェニル炭酸エステル糖が触媒量のトリチル塩で速やかに活性化され遊離の水酸基を有するチオグリコシドと反応し、対応するβ-グリコシドを高収率で与えることを見い出した。また2段階目のグリコシル化反応についても新たに化学量論量のN-ヨードコハク酸イミドあるいはN-ブロモコハク酸イミドと触媒量のトリチル塩からなる活性化剤を用いるとチオグリコシドが低温で速やかに活性化され、対応するβ-グリコシドが高収率で得られることを明らかにした。さらにこれらの結果を踏まえ、ワンポット連続的グリコシル化反応を試みたところアノマーの混合物を生じることなく望みの三糖がいずれも良好な収率で得られ、基質一般性の高い糖鎖合成手法を確立することができた。
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