研究概要 |
本研究において以下のような結果が得られた. 1.グルタミン酸レセプターをその数を1個に制御して平面脂質二分子膜中に包埋したシングルチャンネルセンサーを作成し,1個のチャンネルを透過する全イオン量(Na^+及びCa^<2+>)に基づいて,3種の典型的アゴニストL-グルタミン酸,NMDA,(2S,3R,4S)L-2-(カルボキシシクロプロピル)グリシン(L-CCG-IV)間の選択性を評価した(Biosensors&Bioelectronics,15(2000)173-181). 2.グルタミン酸レセプターの一種NMDAレセプターを構成する全分子種,すなわちε1-4/ξ1について脂質二分子膜シングルチャンネルセンサーを作成し,各アゴニストが誘起する全イオン透過量を評価し,L-グルタミン酸が誘起する全イオン量が各分子種に固有の値をもつことを見出した(Anal.Biochem.,283(2000)258-265). 3.ラット脳より抽出したグルタミン酸レセプターを含むプロテオリポソーム内に,Ca^<2+>を導入し,アゴニストに誘起されたCa^<2+>流出量を測定し,グルタミン酸レセプターのCa^<2+>透過量に基づくイオン特異的なアゴニスト選択性を定量的に評価した.その結果,Ca^<2+>イオン放出量に基づくアゴニスト選択性としてL-CCG-IV>L-グルタミン酸>NMDAが得られた. 4.脂質二分子膜をはさむ水相の溶液組成を制御することにより,セカンドメッセンジャーとして重要なCa^2イオンの絶対透過量をε4/ξ1分子種について評価した(J.Pharm.Biomed.Anal.,印刷中).
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