研究課題/領域番号 |
10440223
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤原 照文 広島大学, 理学部, 助教授 (80127703)
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研究分担者 |
岡本 泰明 広島大学, 理学部, 助手 (40213988)
熊丸 尚宏 広島大学, 理学部, 教授 (50033816)
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キーワード | 逆ミセル / 金属錯体 / 配位平衡 / ソルバトクロミズム / 化学発光反応 / 触媒作用 / 可視吸収スペクトル / ストップトフロー分光光度計 |
研究概要 |
逆ミセル効果によって化学発光反応に対する金属錯体の触媒能が発現する要因として、逆ミセルが金属錯体をその界面あるいは内水相へ容易に取り込み、同時に分解して、空の配位座をもつ触媒活性な種に変換し、しかもそれが加水分解などによって失活するのを抑制する機能をもつことが推測されることから、そのような逆ミセル界面における金属錯体の反応特異性の発現機構を明らかにする目的で、逆ミセルメディアのバルク有機相の組成、陽イオン性界面活性剤の対陰イオンの種類、内水相中の水と界面活性剤のモル比、内水相のpHや共存塩の種類及び濃度、配位子の種類などの諸因子の影響について検討した。 (1) 逆ミセル界面で鉄(III)のオキシン錯体やバナジルのアセチルアセトン錯体が分解し、その内水相でルミノール化学発光反応に対して触媒作用を示すことについて、それらの触媒過程に影響を及ぼす因子を上記のように調べ、その分析化学的応用を検討した。 (2) ビス(2,2'-ビピリジン)鉄(II)錯体が逆ミセル界面に取り込まれる時、そのトリス錯体に変化することを見出し、それに伴う可視吸収スペクトルの急速な経時変化を、上記の諸条件を変化させてストップトフロー分光光度計で観測し、その反応機構を解析した。 (3) ポルフィリン-亜鉛(II)錯体及びテトラメチルサイクラム-ニッケル(II)錯体をプローブとして用い、前者を逆ミセル系のバルクの有機相に、後者を逆ミセル内水相に各々分散させ、上記の諸条件を変化させ、それらの錯体での配位平衡の変化に伴うソルバトクロミズムを各々自記分光光度計で観測し、逆ミセル界面の特性及びその変化を解析した。ミクロ反応場としての逆ミセル界面の親水的あるいは疎水的環境などの特性及び溶媒和及び内水相のイオン、水分子、界面活性剤の極性基など、それらの錯体の配位平衡に影響を及ぼす因子を明らかにし、その特異性について考察した。
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