26Sプロテアソーム機能の制御機構に関する研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10440225
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 東江 昭夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90029249)
• 研究分担者: 上園 幸史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30251408) ; 菊池 淑子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (00138124)
• キーワード: 26Sプロテアソーム / 出芽酵母 / M期中期アレスト / 細胞周期 / ユビキチン化

研究概要

26Sプロテアソームの調節因子の構成成分の一つRpn9の欠失株rpn9Δ株の中で形成される26Sプロテアソームは少なくともRpn9とRpn10の二種のサブユニットを失っていることを明らかにした。rpn9Δ株は温度感受性の増殖を示し、制限温度下ではM期中期で増殖停止する。in vivoでSiclとClb2の分解活性を調べたところSiclの分解は野生型とほぼ同様の速度で、Clb2の分解は野生型よりも遅いが分解は進むことが分かった。両基質の分解速度は増殖の温度には関係しなかった。M期のユビキチン化酵素複合体Apcの構成成分の温度感受性変異体は制限温度でM期中期で増殖停止するが、この欠損は終期インヒビターPds1を欠損させることにより補修される。しかし、rpn9ΔによるM期中期アレストはpds1の欠損では補修されなかったので、終期への進行には未知の蛋白質がプロテアソームにより分解されることが必要であることが推定される。この蛋白質の分解がrpn9Δ株の温度感受性の原因である可能性があり、今後これを同定することが必要である。
rpn9Δ株の温度感受性増殖は多コピーのPAB1(polyA Binding Protein)によりサプレスされる。この現象を分子レベルで説明するために、rpn9Δ[YEp-PAB1]株から粗抽出液を調製しグリセロール密度勾配遠心法で分画後、非変成ポリアクリルアミドゲル電気泳動により再分画したところ、rpn9Δ株から同様の手順で得た結果と変わらなかった。PAB1は蛋白質合成系とプロテアソームの接点になる可能性があり、今後さらに研究を続ける必要がある。

研究成果

• [文献書誌] Andoh,T., Kato,T.,Jr., Matsui,Y., Toh-e A: "Phospluslaocifide-specific phospholipase C forms a complex with 14-3-3 proteins and is involved in expression of UV resistance in fission yeast" Mol.Gen.Gevet.258. 139-147 (1998)
• [文献書誌] Fujimuro,M., Tanaka,K., Yokosawa,H., Toh-e,A: "Sonlp is a component of the 26S proteasome of the yeast socchaomy as cerevisiae." FEBS Lett. 423. 149-154 (1998)
• [文献書誌] Fimley,D.et al: "Unified nomeaclature for subunils of the sancheroinyles cerevisice proteasome regulatory particle." Trend.Biochem.Sci.23. 244-245 (1998)
• [文献書誌] Hori,T., Kato,S., Saeki,M., De Marfinoit,N et al: "CDNA Cloning and functional analysis of p28(Nas 6p)and p40.5(Nas 7p), fisc novel segulotory subunits of the 26S proteasome" Gene. 216. 113-122 (1998)
• [文献書誌] Nishizawa,M., Kawasumi,M., Fujino,M., Toh-e,A: "Phosphorylation of Sicl, a Cdk inhibitor, by Cells incladury pho55 kinase is required for its prompt degradation" Mol.Biol.Cell. 9. 2393-2405 (1998)
• [文献書誌] Yashiroda,H., Kaida,D., Toh-e,A., Kikuchi,Y: "The PY-mutif of Bul 1 protein in essential for growth of siccharomyces ceavisiue under various stress conditions" Gene. (in press). (1999)