研究概要 |
1, ttx-1遺伝子とttx-2遺伝子の遺伝解析 ttx-1変異とttx-2変異は、従来の解析からAFD温度受容ニューロンあるいはAIY介在ニューロンで機能している可能性が示唆される。そこで、これらの変異体にAFD特異的GFPマーカーとAIY特異的GFPマーカーを導入し、それらのニューロンの形態的異常の有無を観察した。ttx-1変異体において、AFD特異的GFPマーカーであるgcy-8::GFPとH13::GFPの発現が著しく減少していた。gcy-8はグアニレートサイクレースをコードし、H13は核内ホルモンリセプターをコードしている。この結果は、ttx-1遺伝子が、AFDで機能し転写因子をコードしている可能性を示唆する。そこで、ttx-1遺伝子のマップされているゲノムDNA領域に存在するいくつかの転写因子をコードする遺伝子DNAが、ttx-1変異を相補できるかどうか検討中である。ttx-2変異体においては、これらのGFPマーカーの発現異常等は検出されていない。 2, daf変異との相互作用を利用した新規の温度走性異常突然変異体の単離 daf-1(ts)変異体は、温度感受性の構成性dauer幼虫形成異常を持つため、15℃で飼育すると成虫にまで生育するが、25℃で飼育するとdauer幼虫となり成長が半永久的に停止する。本研究で、既存の温度走性変異ttx-1とttx-3変異は、既に報告されているdaf-7変異と同様に、このdaf-1変異のdauer幼虫形成の表現型に影響を与えることがわかった。そこで、daf-1変異体をEMS処理して突然変異を誘発させ、25℃で成虫にまで生育してきたF2個体を単離して系統化し、温度走性異常の有無を解析した。現在までに、8系統の温度走性異常株が単離され、それらの遺伝、行動解析を行っている。
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