(1)成虫の産卵選好性と幼虫の生存率の関係 葉に潜るポプラシロハモグリとゴールを形成するハコブハバチの産卵選好性と幼虫の生存率の関係を比較した。ポプラシロハモグリの成虫は野外では幼虫が発育できない2種を含むすべてのヤナギに対して産卵を行っていた。しかし、室内での選択実験では雌成虫は幼虫が発育できないヤナギに対する産卵を避ける傾向が見られた。そのため、選択実験により示された成虫の産卵選好性と幼虫の生存の間に見られた一致が野外では実現されていないことが明らかになった。これに対して、ハコブハバチは6種のヤナギのうち1種だけにしか産卵しないという強い産卵選好性を示した。 (2)ヤナギルリハムシの摂食促進物質 オノエヤナギにはアンペロプシンを含有するフラボノイド型とケイ皮酸エステル配糖体型の2つの化学種の存在が明らかになった。オノエヤナギの葉の粗抽出物を用いた検定で、ヤナギルリハムシ成虫の摂食促進活性が見られ、その活性が薄層クロマトグラフィーと組み合わせた検定で、アンペロプシン相当部分に分布することを確認した。以上の事実から、オノエヤナギに含まれるアンペロプシンがヤナギルリハムシ成虫の摂食促進物質であると考えられる。
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