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1999 年度 実績報告書

林床植物集団の遺伝的組成に及ぼす森林孤立化の影響の定量的評価

研究課題

研究課題/領域番号 10440230
研究機関東京大学

研究代表者

大原 雅  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90194274)

研究分担者 高田 壮則  北海道東海大学, 国際文化学部, 教授 (80206755)
キーワード林床植物 / 森林孤立化 / 交配様式 / 遺伝的変異 / 遺伝的多様性
研究概要

2年度は、北海道の代表的な多年生林床植物オオバナノエンレイソウを対象として、森林分断化がもたらす影響について評価を行った。調査は、自家不和合成を示し、サイズや周囲の環境が異なる十勝地方に位置する14の個体群を対象に行った。
1.個体群の種子生産に及ぼす個体群サイズと周囲の景観の効果
各個体群で、特に種子生産に着目して繁殖を表す変数について比較し、個体群サイズ(推定開花個体数)と個体群を取り巻く景観の効果について解析した。その結果、個体群サイズの減少は、種子生産を有意に制限していた。各個体群における他家花粉受粉量は、種子生産と有意な相関関係を示したことから、この種子生産に見られる差異は花粉媒介者制限によるものであることが示された。
2.孤立林におけるエッジ効果
北海道帯広市南部に位置する面積約1haの孤立林(清川個体群)を対象に、孤立林内を直交する2本のトランセクト(各90m)を設定し、林内の物理環境の空間的・季節的変化、ならびにその変化がオオバナノエンレイソウ個体群に及ぼす影響について評価を試みた。測定した物理環境(気温,土壌温度,土壌水分含有率)は、オオバナノエンレイソウの開花期(5月)よりも落葉樹の葉が展開した結実期(7月)に強いエッジ効果の影響を示し、特に気温では、森林の内部よりも林縁部で、また林の北側よりも南側で高い値を取る明瞭な傾向を示した。
3.分断化が遺伝的変異に与える影響
11集団を対象に行った酵素多型解析(7酵素13遺伝子座)より、個体群サイズが小さくなるほど遺伝的変異量が失われる傾向が見出された。小さい個体群において見出されなかった遺伝子の全てが、出現頻度の稀な対立遺伝子(p<0.1)であったことから、遺伝的変異量の減少は分断時のびん首(bottleneck)効果によって稀な遺伝子が確率的に失われたことによるものと考えられた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Kaneko, Y.: "Population biology of Aesculus turbiaata・Blume"Plant Species Biology. 14. 47-68 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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