研究概要 |
(1)野外調査としては、研究材料であるタカサゴシロアリ、タイワンシロアリなどを得るために、4月下旬および6月上旬に沖縄県の西表島に、また、オオシロアリおよび家族性のゴキブリを得るために、7月中旬に鹿児島県の屋久島へ調査にでかけて行った。 (2)シロアリ類におけるカスト分化制御物質(フェロモン)の伝達と兵隊への分化の遺伝子発現:兵蟻分化に特有の物質はどのようなものか、それはどこで作られ、その際、どの様な遺伝子が発現しているのか。その遺伝子をデフャレンシャル・デスプレー法で調べた。 (3)オオシロアリ類における栄養交換と子虫の成長に関する研究:屋久島産のオオシロアリを材料に用いて、腸内容物の分析、脂肪体での尿酸蓄積そして親成虫から子虫への栄養交換の頻度の測定などを行った。また,コロニー間の近縁関係の測定をDNAレベルで行った。 (4)タカサゴシロアリにおける初期巣の成立と兵隊カーストの分化に関する研究:高等シロアリであるタカサゴシロアリのカースト分化の様相を飼育実験により調べた。 (5)キノコシロアリと担子菌類との共生システムと親子関係に関する研究:高等シロアリであるタイワンシロアリと担子菌類との栄養生態学的な関係がいかなるものかを研究した。特に、創設期の成虫がどの様にして菌を運ぶのかに注目した。また、シロアリの進化系統と菌類の種組成との関係を、分子系統学的手法を用いて研究した。 (6)亜社会性(家族性)ゴキブリ類の親子関係:クチキゴキブリ類の家族はシロアリの社会進化のモデル系と捉えることができる。親成虫から子虫への反吐による物質伝達が観察されている。その反吐物を分析する手法を開発に着手した。 (7)オオズアリのカースト分化:初期巣におけるカースト分化のメカニズムを分子生物学的に調べた。
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