本研究の目的は、これまでの成果を踏まえて、オルガネラの分裂装置の構造と機能を先ず細胞生理学的に解析し、続いて分裂装置を単離し、構成成分を決定し、オルガネラの分裂装置のタンパク質を含めた物質的背景を明らかにすることである。このためには実験材料として数々の有利さを備えたシアニデイオシゾン(Cyanidioschyzon merolase)を用いて解析した。得られた結果は以下のようになる。 1.光の明暗と薬剤の投与により、葉緑体の分裂を80%まで高めた。この方法を用いて、再度、葉緑体の分裂装置の形成、収縮、分散の機構を解析するとともに、ミトコンドリアの分裂装置との関係を明らかにした。 2.フレンチプレスにより大量に集めた分裂期の細胞を破砕し、分裂中の葉緑体を、遠心により、集める事に成功した。 3.集めた分裂葉緑体を界面活性剤処理、pH、及び塩処理などにより、葉緑体の外包膜と葉緑体の分裂装置の複合体を分離することに成功した。 4.分離した分裂中の葉緑体と間期葉緑体、もしくは分離した粗葉緑体分裂装置画分と同様な処理をした間期の画分を、ニ次元電気泳動法を用いて比較し、分裂装置特有のタンパク質を同定した。
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